南イタリア・プーリア州 The Flavors of Puglia プーリアの味を巡る旅 〜アンドリア〜トラーニ〜
vol.4【港町のモスカート・ディ・トラーニ】Moscato in TRANI
vol.4【アンドリア産ブッラータのチーズ職人】
Burrata in ANDRIA
Puglia プーリア
南イタリア・プーリア州は、文化、芸術、自然、建築、伝統工芸、そして美味しい料理とワインが融合した歴史ある地方だ。ブドウ畑やオリーブの木々が彩り、太陽の光が降り注ぎ、地中海が目前の壮大な景観を持つ自然の魅力がある。
Pugliese-style
プーリアで暮らすように旅する
どこか懐かしさを感じるような街。家庭的なマンマ(お母さん)のようなシニョーラが切り盛りする店に人々が集い、伝統的名産に携わるシニョーレの職人が美食をふるまい、まるで地元で暮らしているかのような居心地のよいプーリアの雰囲気。伝統と歴史に培われた、プーリアらしさのアイデンティティを表す「味」を紹介する。
【アルタムーラのパン】
Bread in ALTAMURA【ルティリアーノのマッセリアで料理】
Focaccia in a Masseria, RUTIGLIANO
【青い街・カザマッシマ】
CASAMASSIMA【コラートのオリーブオイル】
Olive Oil in CORATO
【サン・セヴェーロのワインセラーを訪ねる】
Wine in SAN SEVERO【アンドリア産ブッラータのチーズ職人】
Burrata in ANDRIA
【港町のモスカート・ディ・トラーニ】Moscato in TRANI(以降、最終更新)
【バーリの歴史的散策、オレキエッテ通り】
Orecchiette in BARI【バーリのサン・ニコラ祭 (5月)】
Festa di San Nicoa in BARI (May)
アンドリア産ブッラータのチーズ職人
Burrata in ANDRIA
アンドリアでは職人と共にブッラータやモッツァレラなどのチーズを知り、アドリア海に面した港町のトラーニではデザートワインのモスカート・ディ・トラーニを愉しむ。
アンドリア近郊には、ユネスコ世界遺産に登録されている「Castel del Monte(カステル・デル・モンテ)」がある。プーリアと縁が深い皇帝で、中世の時代に数々の王に在位し、後に神聖ローマ皇帝の冠を授けられた。フェデリコ2世(フリードリヒ2世)が建設を命じた城だ。周囲はアルタ・ムルジャ国立公園の緑に囲まれて小高い丘の上に建ち、八角形の建物の四隅に8つの細身の塔を配し、各階に8つの広間、八角形の中庭など、数字の8が象徴的な神秘の城だ。
城の周りに丘陵地帯が広がる美しい景色のこの地に農場を持ち、優れた乳製品の生産で名高いアンドリアで1988年に誕生したのが、「Caseificio Olanda(カセイフィーチョ・オランダ)」だ。博物館を持ち、歴史と伝統を展示で紹介している。チーズ造りの昔ながらの道具や、ミルクを運ぶ様子など時代を映し出すモノクロ写真を見ることができる。
プーリア地方の乳製品の優秀さを象徴する存在が、ブッラータ・ディ・アンドリア(アンドリア産のチーズ)。産地の名称を冠し、IGP認定されたこの特産チーズは、アンドリアの真髄を感じさせる。ブッラータは、モッツァレラを薄く伸ばして袋状にし、切ると中に包み込んでいる生クリームとモッツァレラの細片が溢れ出てくるフレッシュチーズ。とろりとした、クリーミィな味わいだ。
目の前でチーズ職人がデモンストレーション。カード(凝固乳)にお湯を入れて溶かして練って、長く伸ばした柔らかなチーズをあっという間に成型。人間味溢れる伝統的な技術を持つ職人が、モッツァレラチーズでユーモラスな可愛らしい豚の形を作ってくれ、ずっと見ていても飽きない。
魔法のように卓越した手先の技術に驚きながら、見学した後は、職人が作ったチーズをテイスティング。光沢のある白、滑らかな表面、とろけるような中身の新鮮なブッラータは、アンドリアの自然から生まれた本物の味わい。原料であるミルクの美味しさを感じさせる。
最後のデザートは、柔らかいブッラータにチョコレート風味を合わせ、コーヒーのソースをかけたもの。シンプルな美味しさのブッラータは、そのままはもちろん、最初の前菜から最後のスイーツまで、いろいろな料理に使うことができ、味わいが変化する。




FAMIGLIA Olanda
ショップに並ぶ乳製品や食品は、代々、地元の人々の食生活を支えてきた
Caseificio Olanda
https://caseificioolanda.it/?lang=en
港町のモスカート・ディ・トラーニ
Moscato in TRANI
アドリア海を一望
サン・ニコラ・ペッレグリーノ大聖堂
午後は、壮麗な大聖堂で知られるトラーニを訪れた。海岸の地に、ロマネスク様式のサン・ニコラ・ペッレグリーノ大聖堂がそびえ建つまだ明るい夕景は、ノスタルジックで例えようもなく美しい。広場では、いつしか旅情を誘うアコーディオンの音が聴こえ、いかにもイタリアの村を思わせる風情で、まるで映画のワンシーンのようである。
トラーニは港町で漁港があり、漁師が新鮮な魚を外で並べて売る様子は、市場のようである。周囲には、シーフードレストランも多い。
締め括りは、海がよく似合うオレンジ色や金色をした心地よい自然な甘さのデザートワイン、Moscato di Trani(モスカート・ディ・トラーニ)のテイスティング。ワインの本数も種類も充実している「BOTTEGA DI LERNIA(ボッテガ・ディ・レルニア)」の店で仲間と飲んでいると、巡り合わせの奇蹟が! この日は奇しくも、新ローマ教皇が発表された日。一報をし、祝福する教会の鐘がトラーニに響き渡った。地元の甘いモスカートと共に、思い出深い旅の記憶となった。
COMPRAVINI – BOTTEGA DI LERNIA
Moscato di Trani(モスカート・ディ・トラーニ)
デザートワインのモスカートの前に、料理とプーリア州ムルジャの白ワイン
COMPRAVINI – BOTTEGA DI LERNIA
@bottegadilernia_trani
(次回に続く)
南イタリア・プーリア州
The Flavors of Puglia プーリアの味を巡る旅
vol.3
【バーリの歴史的散策、オレキエッテ通り】Orecchiette in BARI
【バーリのサン・ニコラ祭 (5月)】 Festa di San Nicoa in BARI (May)
PUGLIA プーリア
Routes & Experiences vol.1〜5
この旅は、「パンの街」として知られる古都アルタムーラの歴史的なベーカリーから始まる。焼き立てのパンを味わったら、翌日はルティリアーノへ。泊まることもできる美しいブドウ畑とオリーブ畑を持つ“マッセリア”を訪れ、フォカッチャやパスタを作る料理教室を体験。「青い街」と呼ばれるカザマッシマを訪れ、翌日はエクストラバージンオリーブオイルの産地で知られるコラートへ。次に、DOCワイン生産地であるサン・セヴェーロの歴史あるワインセラーでテイスティング。アンドリアでは職人と共にブッラータやモッツァレラなどのチーズを知り、地中海に面した港町のトラーニでデザートワインのモスカート・ディ・トラーニを愉しむ。
最後は、州都バーリの街の魅力や旧市街のオレキエッテ通り、5月に開催されたばかりの毎年行われる地元の祝祭をレポート。プーリア州に伝わる食の伝統や歴史を探求しながら体験する旅を、全シリーズ5回に分けて紹介する。
【アルタムーラのパン】
Bread in ALTAMURA【ルティリアーノのマッセリアで料理】
Focaccia in a Masseria, RUTIGLIANO
【青い街・カザマッシマ】
CASAMASSIMA【コラートのオリーブオイル】
Olive Oil in CORATO
【サン・セヴェーロのワインセラーを訪ねる】
Wine in SAN SEVERO【アンドリア産ブッラータのチーズ職人】
Burrata in ANDRIA
【港町のモスカート・ディ・トラーニ】Moscato in TRANI【バーリの歴史的散策、オレキエッテ通り】
Orecchiette in BARI【バーリのサン・ニコラ祭 (5月)】
Festa di San Nicoa in BARI (May)
<Information>
公式サイト
www.weareinpuglia.it
協力
PUGLIAPROMOZIONE(プーリア州観光局)
https://www.viaggiareinpuglia.it/en/
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photo & text by 鈴木陽子(Yoko Suzuki)
CS放送舞台専門局、YSL BEAUTY、カルチャー系雑誌ラグジュアリーメディアのマネージングエディターを経て、エンタテインメント・ザファースト代表・STARRing MAGAZINE 編集長。25ヶ国70都市以上を取材、アーティスト100人以上にインタビュー。
【SNS】 STARRing MAGAZINE
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