北陸新幹線延伸記念「⻘々吉日 TSURUGA WAKASA」福井県最果ての聖地・嶺南地方

⻘々吉日 TSURUGA WAKASA

2024年3月16日、敦賀と東京がついに繋がった。東京から、青・橙・白を基調にした未来的で美しい車両デザインの「かがやき」に乗り、最短3時間8分。

北陸新幹線の終着駅、敦賀駅から近畿にも近い南へ。最果ての聖地・福井県嶺南地方の小浜、高浜、おおいを巡る旅。

澄み切った青空と碧い海、蒼い木々や草花の「あお」が煌めき、神社仏閣も多く福井の「ふく」にもなぞらえて訪れる人に良き日が訪れるような地だった。

「⻘々吉日 TSURUGA WAKASA」をテーマに、美食や絶景、神秘的なスポット、この地の歴史や伝統工芸品を紹介する。


有形文化財指定「護松園」が「みんなの別邸」に
GOSHOEN

福井県小浜市は、生産量日本一の塗箸を誇る地。この地を代表する伝統工芸「若狭塗」は、若狭湾の海底の様子を表現して生み出されたと伝わる。塗り重ねた深い漆の色から煌めく美しい模様を見せる研ぎ出し技法、自然の貝殻といった創意工夫溢れる光る素材を使用するなど、意匠たちが受け継いで現代へと進化させてきた美術品でもある。

ここには、本拠地で若狭塗箸が買える「箸蔵まつかん本店」がある。「GOSHOEN」は、福井県指定有形文化財「旧古河屋別邸(護松園)」を、マツ勘がリノベーションした建物だ。もっと気軽に来てほしいという願いを込めて“みんなの別邸”として、2021年にオープンした。

海の商いをする北前船の寄港地であった小浜の北廻船問屋・豪商の「古河屋」が、賓客をもてなす別邸として江戸時代に建築した家屋。品格のある数寄屋風造りで、当時の建築技法や建材を活かしている。古河屋や若狭塗について知るミュージアム、ワークスペース、レンタルギャラリーやカフェスタンドを持つ。

コーヒースタンド「ene COFFEE STAND」では、飲み物ほか、軽食やスイーツも味わえる。園内どこでも持ち運べるので、見事な古松で「護松園」の名称の由来となった庭を眺めながら、こだわりの美味しいコーヒーを飲んでソファに座り、ゆったりとした時間が過ごせる。

ショップには、地元の箸職人が手がける伝統的若狭塗箸から、ポップでモダンなデザインの塗箸まで100種類以上あり、値段もさまざま。自分好みの一膳、お土産を探してみては?

 

クルージングで嶺南地方の碧を体感
若狭フィッシャーマンズ・ワーフ

小浜湾めぐり

遊覧船から愉しむクルージング。約1時間の船旅で、海から眺める小浜の町や漁港、自然が作り上げたユニークな奇岩の景観を眺める。内湾の「小浜湾めぐり」、外海に出て洞門を巡る「蘇洞門(そとも)めぐり」がある。穏やかな晴天の日は風が心地よく、これから気持ちのよい季節を迎える。発着のエリアは、地方特産物の買い物や、地元食のレストランもあるスポットだ。

 

絶品の「若狭ふぐ」が食べられる日本家屋の宿
若狭ふぐの宿 下亟

平安時代に「ふく」とも呼ばれ、福をもたらすといわれる縁起のよい食、ふぐ。自ら育てる養殖場を持ち、若狭ふぐ料理が自慢の食処がある宿だ。

若狭ふぐは、この地ならではの最高級トラフグ。薄造りのてっさは絶品だ。最近注目の若狭まはたは、ふわっとした厚みと弾力のある白身で、口に含むと旨味が存分に感じられる。こちらの店では、若狭まはたの炙り、お刺身や姿煮などの料理を提供する。

店で人気の「若狭ふぐと若狭まはた料理」は、美食のコラボレーション。若狭に育まれた、ふぐとまはたに、旨い福井の日本酒が合う。稀少な高級魚の美食が、豊富な地酒とともに存分に愉しめる店だ。

若狭ふぐの宿 下亟

 

アジア初、国際環境認証「BLUE FLAG」取得の美しいビーチ
若狭和田ビーチ

透明度が高く美しい海、白く広い砂浜の海水浴場。ここはアジアで初、国際環境認証「BLUE FLAG」を取得したビーチ。綺麗で安全、環境に優しいことが、グローバルな基準で証明されている名所だ。別名「若狭富士」と呼ばれる青葉山に沈む夕日は、「日本の夕陽百選」に選ばれている。若狭和田ビーチから眺める、夕刻の⻘葉山も絶景だ。

 

若狭の味、福井のいいものを届ける漁師町にあるマーケット
UMIKARA

「UMIKARA」は、高浜の漁港と隣接し、朝穫れた新鮮な魚を提供している。マーケットには地元の方々が買い物に訪れ、信頼できる美味しい食材が並ぶ。観光客も鮮魚を生け簀で買い求めて、店内で調理してもらい食べることができる。高浜町のビーチにちなんだ、オリジナルのクラフトビール「ブルービーチビール」も置いてある。

ここを訪れたら、窓から海が見える「うみから食堂」で、海の幸たっぷりの「若狭に恋する海鮮丼」を食べて欲しい。

ほか、お土産選びにぴったりなセレクトショップやテラスも。漁師町・高浜の魅力を伝える、リゾート的雰囲気に満ちたスポットだ。

 

青葉山から絶景を眺める山門
青葉山 中山寺

⻘葉山の中腹、海抜100mの高さにある中山寺は、奈良時代に開創された。海岸線が一望できる山門は、フォトスポットとしても参拝者に人気だ。鎌倉時代後期に建てられた本堂、御本尊の木造馬頭観音坐像は、国の重要文化財に指定されている。優れた仏教美術を今に伝える寺だ。

中山寺

 

⻘葉山の麓、薬草で薬膳茶作り
⻘葉山ハーバルビレッジ(高浜町)

蒼い⻘葉山の麓は、薬草の宝庫。古来より伝わるすりつぶす器具の「薬研」を実際に使って、薬膳茶作りが体験できる。「美」「健」「圧」「肝」といったテーマを選び、薬草の効能も学べる。

広大な敷地内にはガーデンがあり、テラスカフェでは青葉山の恵である薬草をブレンドした薬膳茶を飲むこともできる。

⻘葉山ハーバルビレッジ

 

安倍晴明の子孫が移住した、かくれ里
暦会館

おおい町・名田庄(なたしょう)は、暦道・天文道・陰陽道と関わりを持つ地。安倍家の子孫である土御門(つちみかど)家が、応仁の乱の戦火を逃れ、移り住んだことから始まった。かくれ里のような地を、まだ雪が残っている3月に訪れた。5行を示す、五芒星のマークが目印だ。

陰陽寮は、朝廷の官僚部署であり、天文観測・暦造り・時刻の管理をする漏刻・吉凶を占う部署に分かれていた。有名な安倍晴明は天文博士で、日本の天文暦学の祖として知られる。

暦会館は資料館であり、土御門(安倍)家や暦の歴史、天文、陰陽道について知識を深めることができる。学芸員の説明も興味深い。天体観測のための「渾天儀(復元模型)」や、天体の異変を権力者に伝えたとされる「天変堪文案」、古い時代の暦など、貴重な資料が見られる。

 

2022年オープン! カフェ、ショップ、観光案内所もあるスポット
SEE SEA PARK

2022年オープンした「SEE SEA PARK(シーシーパーク)」。海がテーマの広大な「うみんぴあ大飯」にあり、近くに大型児童施設や公園、マリーナなどがある眺めのよいスポットだ。

EAST錬にはアウトドアショップ、カフェダイニング、若狭おおい観光案内所ほか、WEST錬にはイベントも行われる開放感のあるアトリウム、今春オープンしたベーカリー、宮古島珈琲焙煎所やシェアオフィスエリアがある。コーヒーや、ハンバーガーセットが食べられる風通しのよい「THREE TIMES COFFEE WAKASA」も入っている。地元の人たちが出店するチャレンジショップエリアには、今後も新たな店が登場する予定だ。

海沿いで憩いながら、この町を知る、旅の拠点にしてみては?

SEE SEA PARK

 

若狭湾が目の前、「御食国若狭」の美味しさと誇りを今につなぐ店
お食事処 濱の四季

若狭地方は、朝廷の食文化を支える「御食国(みけつくに)」として知られる。京の都に一番近い小浜の港でとれた海産物を運ぶ道は、いつしか「鯖街道」と呼ばれるようになった。現在でも文化の名残りを感じさせる街道沿いは、日本遺産「御食国若狭と鯖街道」として認定されている。

この店では、当時に思いを馳せる鯖街道定食が食べられる。しめ鯖の刺身、塩と糠で鯖を漬け込んだ保存食のへしこ、鯖の醤油干しと、鯖づくしだ。

この店では、目前に広がる景色を眺めながら、四季を通じて若狭湾の旬の食材の美味しさを、気軽に愉しめる。鯖、まはた、サーモンや牡蠣など、小浜の魅力が詰まった種類が豊富な定食や丼物が、手頃な値段で食べられる。多くの人で賑わう人気の食事処だ。

お食事処 濱の四季

 

起点終点に立ち寄りたい、小浜の玄関口
道の駅若狭おばま

舞鶴若狭自動車道・小浜ICを降りてすぐ、旅の起点終点に立ち寄りたい小浜市のスポット。鯖の巨大な暖簾が目印だ。小浜、若狭の特産である鯖を中心に、名物の焼き鯖寿司をはじめとした、スイーツ、雑貨など、幅広くお土産物が揃う。

昔の行商人のような籠を背負って笠の帽子を被りながら買い物をすると、プレゼントがもらえるなど、鯖街道の起点の町を愉しむ工夫が店内に数々用意されている。小浜でとれる食材をピタパンにふんだんに詰めた、テイクアウトの「小浜pocket」も人気だ。

 

「かがやき」の先に、敦賀・若狭。なにか良いことが起こりそうな、福井県嶺南地方に足を延ばしてみては?

紹介記事・エリア別 

小浜市
若狭フィッシャーマンズ・ワーフ
お食事処 濱の四季
GOSHOEN
若狭ふぐの宿 下亟
道の駅若狭おばま

高浜市
若狭和田ビーチ
UMIKARA
⻘葉山 中山寺
⻘葉山ハーバルビレッジ

おおい町
SEE SEA PARK
暦会館

スタイリッシュな3色が印象的な車両の「かがやき」で、東京から敦賀へ!

<Information>

青々吉日
https://aoaokichijitsu.jp/

協力:福井県嶺南振興局

 

text & photo by 鈴木陽子(Yoko Suzuki)
CS放送舞台専門局、YSL BEAUTY、カルチャー系雑誌ラグジュアリーメディアのマネージングエディターを経て、エンタテインメント・ザファースト代表・STARRing MAGAZINE 編集長。25ヶ国70都市以上を取材、アーティスト100人以上にインタビュー。

 
 

【SNS】 STARRing MAGAZINE

ジャンルレス・エンタテインメントを愉しむ。
オフィシャルインスタグラムをフォロー!

 
Previous
Previous

【レポート】公開リハーサル <新国立劇場バレエ団委嘱作品・世界初演>『人魚姫』

Next
Next

DIOR フレンチ リビエラのリゾートルックを叶える サマー コレクション 2024