【レポート】公開リハーサル <新国立劇場バレエ団委嘱作品・世界初演>『人魚姫』

人魚姫:柴山紗帆 王子:中島瑞生

<新国立劇場バレエ団委嘱作品・世界初演> こどものためのバレエ劇場2024『人魚姫』が、今年7月27日に初日を迎える。

4月17日、公開リハーサルが新国立劇場 オペラパレスで行われ、『人魚姫』に出演する柴山紗帆(しばやまさほ)、中島瑞生(なかじまみずき)が登場。「人魚姫のソロ」と「人魚姫と王子のパ・ド・ドゥ」の踊りが披露された。

公開リハーサルの前には、吉田都芸術監督が挨拶をした。新国立劇場バレエ団から振付家を育てるために発足したプロジェクト「NBJ Choreographic Group」の活動が実を結び、新作『人魚姫』の全幕バレエが生まれた喜びをコメントした。

作品の振付を手がけたのは、2022年まで新国立劇場に22年間ダンサーとして在籍した貝川鐵夫(かいかわてつお)。「NBJ Choreographic Group」に発足当初から参加し、プロジェクトでパ・ド・ドゥとして最初に発表した『人魚姫』が、2幕のオリジナルバレエに昇華した。

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<公開リハーサル>
貝川鐵夫(振付)
『人魚姫』出演ダンサー(柴山紗帆、中島瑞生)

 

公開リハーサルは、観ている側も想像力をかき立てられるような内容だった。バレエは言葉を発することなく、人間を介して音楽と呼吸を表現する、その身体芸術の醍醐味と繊細さが感じられるような貝川鐵夫による振付とリハーサルだった。

 

「人魚姫のソロ」人魚姫:柴山紗帆

海底の人魚姫は、出会った王子を忘れられず、地上の世界に行く決心をする。憧れの世界に手を伸ばし、見上げる振付で踊りながら表現する柴山に、その先はもっと広い、希望の力によって押されるように前に前に進むように、常に上を見て気持ちがそこに向かうように、と貝川が振付の意図を想像させるヒントを与えていく。思いが募り、鼓動を表して煌めくような音のきっかけで「行きたい」と心を決める流れを、アドバイス後に再び踊った柴山が感じさせてくれた。

 

「人魚姫と王子のパ・ド・ドゥ」人魚姫:柴山紗帆 王子:中島瑞生

中島が人魚姫に憧れられる、王子の気品や優しさを感じさせる。貝川が2人に、ポーズは大事だが流れと動きが止まらないように、呼吸と音楽を感じてその先の世界観のエッセンスまで感じさせるように、自ら両役ともに踊って見せる。王子が人魚姫の手を取りながらサポートで離すタイミングをほんの少し長めにすることによって優しさや愛情をより感じさせ、距離が深まっていく2人の気持ちが繊細に舞台上で作られていく。人魚姫を持ち上げるリフトでは、海底から上がったさらにその上の空気や光を感じるように、振付では語り尽くせない表現をダンサーたちに想像させながら、作品を構築していくのが印象的だった。

再び通しで踊ると、人魚姫が経験する一目惚れという初めての感情に対するとまどい、微細な音楽のテンポに合わせて2人で呼吸を合わせることにより、お互いの長い見つめ合いから、もっと一緒に過ごしたいという深まりが感じられた。

続く質疑応答では、貝川は「人間を通して表現されるバレエを、自由に、感じるままに見て欲しい」と話した。

川口直次による舞台装置デザイン画、植田和子による衣裳デザイン画(人魚姫)も美しく、全世代が愉しめるバレエの魅力が詰まった作品になりそうだ。貝川から観客には、劇場という空間で衣裳、音楽、ダンサーを楽しんで欲しい、というメッセージだった。

(左から)貝川鐵夫、柴山紗帆、中島瑞生

柴山紗帆
「人魚姫は天真爛漫、無邪気で可愛らしい印象。好奇心旺盛で、王子と出会って成長をします」「何か感じてもらえる舞台を、これから作りあげていきたいと思っています。(中島)瑞生くんと一緒に踊るのも楽しみにしています」

中島瑞生
「品格や、王子ならではの感覚を持ちながら、成長するように乗り越えて強くなることがポジティブな要素として表現できたら」「(貝川)鐵夫さんの作品の透き通るような空気感、音楽と呼吸を純粋に楽しんでいただければ素敵だなと思います」

*コメント一部抜粋

フォトセッション

パ・ド・ドゥで使用された典雅なモーツァルトは光の煌めきが感じられ、ほかドビュッシーやマスネなど物語を彩る多彩な作曲家の曲が作品に使われ、流れる音楽にも情景の想像が膨らむ。

メインキャストには、新国立劇場が誇るプリンシパルを中心に人気ダンサーが出演する。人魚姫役に米沢唯、木村優里、柴山紗帆、王子役に速水渉悟、渡邊峻郁、中島瑞生、深海の女王役に奥村康祐、井澤 駿、仲村啓。

公開リハーサルに参加したプリンシパルの柴山紗帆とファースト・アーティストの中島瑞生の本番にも期待、貝川鐵夫作品の『人魚姫』をそれぞれのペアがどのように踊るのか、男性ダンサーがトウシューズを履くという大海を司る深海の女王役も楽しみだ。

 

撮影:阿部章仁

<Information>

新国立劇場バレエ団

こどものためのバレエ劇場 2024
『人魚姫』~ある少女の物語~
<新国立劇場バレエ団委嘱作品・世界初演>

Ballet for Children 2024
Story of a Little Mermaid

期間:2024年7月27日〜7月30日
会場:新国立劇場 オペラパレス

日程詳細、チケット情報は公式サイト参照https://www.nntt.jac.go.jp/ballet/littlemermaid/

 
 

text by 鈴木陽子(Yoko Suzuki)
CS放送舞台専門局、YSL BEAUTY、カルチャー系雑誌ラグジュアリーメディアのマネージングエディターを経て、エンタテインメント・ザファースト代表・STARRing MAGAZINE 編集長。25ヶ国70都市以上を取材、アーティスト100人以上にインタビュー。

 
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