Moulin Rouge! The Musical on NY Broadway, Al Hirschfeld Theatre

Broadway Theatre 観劇レポート

今年10月に訪れた本場ブロードウェイをレポート! 観劇作品は、ニューヨークのブロードウェイ・ミュージカル『Moulin Rouge! The Musical』。

ドアオープン前に長い行列が並ぶのは、ブロードウェイの劇場ではお馴染みの光景だ。

パンデミックの影響で一時は閉鎖を余儀なくされた劇場街だが、様々な苦労を乗り越えて以前より熱気を増しパワーアップした雰囲気さえ感じられる。

『Moulin Rouge! The Musical』は、約2時間40分の目眩く舞台。日本でも上演されたこの作品は、アメリカのボストンから始まり、2019年にNYブロードウェイのプロダクションがオープンした。

バズ・ラーマン監督の同名映画の世界観を舞台化した本作品は、本場フランスのムーラン・ルージュの雰囲気も漂わせる壮麗で煌びやかな舞台美術とともに、驚きと熱狂を持って観客に迎えられた。

上演されているのは、Al Hirschfeld Theatre(アル・ハーシュフェルド劇場)。クラシカルな雰囲気のある美しい劇場だ。NYブロードウェイには、20世紀初頭に建てられたまるでヨーロッパの歌劇場のような雰囲気を持つ劇場が多く、当時の文化を感じるのも訪れる魅力の一つだ。

2020年に栄誉あるトニー賞のミュージカル部門最優秀作品賞、演出賞、振付賞、装置デザイン賞、衣装デザイン賞を含む10冠に輝いた作品。現在でもチケットの人気が高い作品だ。

観劇した主演キャストは、クリスチャン役のCasey Cott(ケイシー・コット)とサティーン役のCourtney Reed(コートニー・リード)。2人とも今年からキャストに参加している。

アメリカのドラマ出演でも知られるクリスチャン役のケイシー・コットが今夏8月から、この舞台のUSツアーにも参加して『アラジン』オリジナルキャストのジャスミン役でも知られるコートニー・リードはヒロインのサティーン役を6月から演じている。初演から役者が変わり、実力派スター達が人気プロダクションを継続させ、新たなファンを獲得するのもブロードウェイの凄さと魅力だ。

2人は恋愛ドラマが似合うコンビで、歌唱にはパワーと情感が感じられる。モンマルトル地区のロートレックのアトリエで歌う、という設定のロマンティックに歌い上げる曲 "Come What May" も印象的で耳に残る。

人気キャスト陣に加えて、来年2024年2〜5月の予定で、なんと80年代に世界を席巻したポップスターのカリスマ、ボーイ・ジョージが支配人ハロルド・ジドラー役で出演することが決定している。

劇場内には、巨大な風車とエレファントが出現。映画と同様に、女優役のサティーンが空中ブランコに乗って客席の頭上から降りてくる。

1階のオーケストラ席と呼ばれる前方7〜10列目あたりは臨場感もあり、舞台全体を見渡せる席。舞台目前にはVIPテーブル席も。開場は40分前で、幕前にはプレ・ショーと呼ばれる官能的なダンサーのパフォーマンス、マジックショーも行われる。気分はさながら、ナイトクラブ、ムーラン・ルージュにいるよう!

作品はマッシュ・アップ・ミュージカルと呼ばれ、膨大な数のメガヒット曲が散りばめられている。Mush-Upは「混ぜる」という意味を持ち、マドンナやレディ・ガガ、ビヨンセ、エルトン・ジョンなど世界的スーパースターの既存曲が約70曲使われている。最後は有名なオペレッタ『天国と地獄』の曲が流れ、支配人ジドラー役の「みんなでカンカン!」のフレーズと共に客席が歓声と拍手に包まれ、祝砲が打ち上がり、金銀、ハート型の紙吹雪が舞う! 参加型のミュージカルで、圧倒的なエンタテインメントの世界だ。

舞台の端から端まで役者それぞれの熱量あるパフォーマンス、芸術を生み出すアメリカの想像力に圧倒される、ゴージャスで華やかなNYブロードウェイの一夜だった。

 

Broadway Shows in NYC

ブロードウェイの劇場街は、タイムズスクエアからすぐ。どれを観るか、本当に迷ってしまう。

現在上演中の舞台には、名作映画を舞台化した『Back to the Future: The Musical』、今年の第76回トニー賞で作品賞を受賞した『Kimberly Akimbo(キンバリー・アキンボ)』、マイケル・ジャクソンを描いた『MJ』、ロングランの名作『CHICAGO』、他にも『SIX』、『お熱いのがお好き』、『Hadestown(ヘイディズタウン)』など話題作にいとまがない。さらにオフ・ブロードウェイも!

今年、ブロードウェイで最長のロングラン記録を打ち立てた『オペラ座の怪人』が35年の歴史をもって閉幕した。伝説の作品は観客の記憶に残り、また新たな舞台が生まれるブロードウェイの街から目が離せない。

チケットは下記サイトをチェックすれば、ブロードウェイのロングランから最新人気ミュージカル作品まで、各劇場のボックスオフィスまで行かずともインターネット上の手続きで購入できる。メトロポリタン・オペラやニューヨークシティバレエ団の公演の取り扱いもあり、日本語ページも用意されている。

The Broadway Collection
https://www.broadwaycollection.com

リンカーンセンター

タイムズスクエア 


毎年、秋・冬の年2回開催され、お得な観劇体験を提供する「ブロードウェイ・ウィーク」の情報はこちら。期間中は、2 for 1チケット(2名分のチケットを1名分の料金で購入可能)で、好きな作品を選んで鑑賞できる。

NYC Broadway Week (NYCブロードウェイ・ウィーク)
https://www.nyctourism.com/nyc-broadway-week

ニューヨーク市観光会議局 協力

 

text by 鈴木陽子(Yoko Suzuki)
CS放送舞台専門局、YSL BEAUTY、カルチャー系雑誌ラグジュアリーメディアのマネージングエディターを経て、エンタテインメント・ザファースト代表・STARRing MAGAZINE 編集長。25ヶ国70都市以上を取材、アーティスト100人以上にインタビュー。

 

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