「オランジュリー美術館 オルセー美術館コレクションより ルノワール×セザンヌ ―モダンを拓いた2人の巨匠」展 

ピエール=オーギュスト・ルノワール《ピエロ姿のクロード・ルノワール》1909年、油彩・カンヴァス、オランジュリー美術館
© GrandPalaisRmn (musée de l'Orangerie) / Franck Raux / distributed by AMF

ポール・セザンヌ《セザンヌ夫人の肖像》1885-1895年、油彩・カンヴァス、オランジュリー美術館
© GrandPalaisRmn (musée de l'Orangerie) / Hervé Lewandowski / distributed by AMF

印象派・ポスト印象派の巨匠として知られるピエール=オーギュスト・ルノワール(1841-1919)とポール・セザンヌ(1839-1906)の2人に焦点を当てる展覧会が5月29日に開幕。肖像画、静物画、戸外制作といった章立てを通じて、合計52点の油彩作品で構成される。ルノワールとセザンヌは1874年の第1回印象派展に参加し、それぞれの絵画表現を突き詰めていった。

20世紀初頭にも、両者を並べて論じられることが実は多くあった。20世紀美術を主に扱った画商でコレクターのポール・ギヨー厶(1891-1934)は、印象派・ポス卜印象派の作家の中でもこの2人のみを収集している。今回の出品作品のうち、大部分はギヨームに由来する作品である。ギヨームは43歳で若くして亡くなるが、妻のドメニカと再婚相手の建築家で実業家のジャン・ウォルターが収集を継続し、発展させていく。

ギヨームは生前、そのコレクションをフランス国家に寄贈することで「フランスで最初のモダン・アートの美術館」が出来ることを望んでいた。彼はまた、ルノワールとセザンヌを古典とモダンの両方の様式における先駆者とみなしていた。ドメニカにより一部、変更を施された部分はあるが、そのコレクションをフランス政府が1959年と1963年の二度にわけて公式に購入し、今日、オランジュリー美術館コレクションの核として一般に公開されている。

この展覧会では、ルノワールとセザンヌの作品のみならず、2人に影響を受けたビカソの作品も展示することで後世に与えた影響についても浮き彫りにしている。

ピエール=オーギュスト・ルノワール《花瓶の花》1898年、油彩・カンヴァス、オランジュリー美術館
© GrandPalaisRmn (musée de l'Orangerie) / Franck Raux / distributed by AMF

ポール・セザンヌ《青い花瓶》1889-1890年、油彩・カンヴァス、オルセー美術館
© Musée d'Orsay, Dist. GrandPalaisRmn / Patrice Schmidt / distributed by AMF

ピエール=オーギュスト・ルノワール《ピアノの前の少女たち》1892年頃、油彩・カンヴァス、オランジュリー美術館
© GrandPalaisRmn (musée de l'Orangerie) / Franck Raux / distributed by AMF

ポール・セザンヌ《わらひもを巻いた壺、砂糖壺、りんご》1890-1894年、油彩・カンヴァス、オランジュリー美術館
© GrandPalaisRmn (musée de l'Orangerie) / Hervé Lewandowski / distributed by AMF

展覧会3つのみどころ

1. パリ、オランジュリー美術館発! ルノワールとセザンヌの2人展

パリのオランジュリー美術館は、印象派・ポスト印象派の名作を所蔵している。特に画商ポール・ギヨームが礎を築いたフランス近代美術の一大コレクションは、世界中の美術ファンを魅了してやまない。

本展はオランジュリー美術館が初めて、「ルノワールとセザンヌ」に焦点を当てて構成した展覧会。20世紀最大の巨匠・ピカソへと続くモダン・アートの出発点を紹介する。

2. オランジュリー美術館とオルセー美術館から、ルノワールとセザンヌの代表作52点が集結!

本展では、オランジュリー美術館のみならず、印象派の殿堂オルセー美術館からも集結する作品群にも注目。ルノワール《ピアノの前の少女たち》、セザンヌ《画家の息子の肖像》、ピカソ《布をまとう裸婦》らの傑作に加えて、ルノワールとセザンヌによる肖像画、静物画、風景画を展覧する。52点の代表的な作品から、モダン・アートへの道を拓いた2人の巨匠に迫る。

3. ミラノ、マルティニ(スイス)、香港を経て日本へ。世界巡回展、日本唯一の開催

世界で注目を集める本展は、2024年1月よりミラノで開催され好評を博したのち、マルティニ(2024年7月より開催)、香港(2025年1月より開催)を経て、日本へ巡回。日本唯一の会場となる三菱一号館美術館で、この機会にぜひ鑑賞を!

<Information>

「ルノワール×セザンヌ ―モダンを拓いた2 人の巨匠」展 

会期:2025年5月29日〜9月7日
会場:三菱一号館美術館

公式サイト
https://mimt.jp/ex/renoir-cezanne/

 

text by STARRing MAGAZINE 編集部

 
 
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