【舞台レポート】上演中! 『新作歌舞伎 ファイナルファンタジーX』

木下グループ presents『新作歌舞伎 ファイナルファンタジーX』

360度回転する劇場、「IHI ステージアラウンド東京」(東京・豊洲)のラストシーズンを飾る企画として、木下グループ presents『新作歌舞伎 ファイナルファンタジーX』が上演中だ。

企画・構成は、尾上菊之助。「FFX(=ファイナルファンタジーX)歌舞伎」として、前編・後編を通して7時間の構成に纏め、見事に名作ゲームの世界を舞台上に実現させた。オリジナルが持つファンタジー性とそこに流れる想いをリスペクトし、キャラクターや一族、1000年もの破滅と確執が続く壮大な歴史、魔物の象徴である「シン」を歌舞伎の表現で魅せる。

尾上菊之助は、ストーリーを通して成長しながら世界を救おうとする、主役ティーダを演じる。伝説の剣士でティーダを支えるアーロン役に中村獅童。親との関係に確執を持ち、歪んだ理想と野望を持つ悪役シーモア役には、尾上松也。

ティーダの相手役のヒロイン、ユウナ役には女形の中村米吉。その美しさが話題になっている。共に旅する仲間を、中村橋之助、中村梅枝、上村吉太朗、坂東彦三郎が演じ、坂東彌十郎ほか名役者が重要な役どころや伝説の人物たちを演じる。中村萬太郎が商人の23代目オオアカ屋として観客を異世界に引き込み、舞台と客席を繋ぐ役割をする。

また、菊之助の息子である尾上丑之助が、ティーダ(幼少期)と祈り子を演じている。この世界の秘密を知っている祈り子は、ティーダに答えのヒントを教えて導く存在だが、2013年生まれの彼が深い精神性と謎の余韻を残し、印象的に演じている。

死の螺旋に囚われた「スピラ」、眠らない都市「ザナルカンド」など、ゲーム上の幻想的な世界を、圧倒的な高さの超巨大スクリーンを誇る360°回転劇場を回しながら、次々と舞台に出現させる。観客も舞台上の出演者と共に、壮大な旅を続けるかのようである。

前半のみ、後半のみの観劇も可能。劇場のショップでは、役者のキャラクターブロマイドなどの公演オリジナルグッズを販売している。また、幕間を愉しむお弁当の事前注文も受け付けている。

伝統芸能の歌舞伎でありながら、伝説のゲームとコラボした見事な世界観。ぜひ体験して欲しい。

 

撮影:引地信彦
© SQUARE ENIX/『新作歌舞伎 ファイナルファンタジーⅩ』製作委員会

ゲームさながら、ユウナの「異界送り」

 

配役・登場人物

尾上菊之助/ティーダ
中村獅童/アーロン
尾上松也/シーモア
中村梅枝/ルールー
中村萬太郎/ルッツ、23代目オオアカ屋
中村米吉/ユウナ
中村橋之助/ワッカ
尾上丑之助/ティーダ(幼少期)、祈り子
上村吉太朗/リュック
中村芝のぶ/ユウナレスカ
坂東彦三郎/キマリ
中村錦之助/ブラスカ
坂東彌十郎/ジェクト
中村歌六/シド
尾上菊五郎 (声の出演)
※中村歌六、中村錦之助、尾上丑之助は後編のみ出演

<Information>

『新作歌舞伎 ファイナルファンタジーX』

上演期間:2023年3月4日(土)~4月12日(水)
前編:12:00開演 後編:17:30開演
会場:IHIステージアラウンド東京

公式サイト
https://ff10-kabuki.com/

*詳細、休演日、チケット情報は公式サイトまで。

 

text by 鈴木陽子(Yoko Suzuki)
CS放送舞台専門局、YSL BEAUTY、カルチャー系雑誌ラグジュアリーメディアのマネージングエディターを経て、エンタテインメント・ザファースト代表・STARRing MAGAZINE編集長。25ヶ国70都市以上を取材、アーティスト100人以上にインタビュー。

 
 
Previous
Previous

GANMI×宝塚歌劇OG DANCE LIVE『2STEP』 第2回 飛龍つかさ リレー連載 INTERVIEW

Next
Next

【レポート】新国立劇場バレエ団「シェイクスピア・ダブルビル」『マクベス』公開リハーサル