サティーン役を演じる望海風斗にインタビュー! 『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』日本上演

Welcome To The Moulin Rouge !
『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』へようこそ!

壮麗にしてロマンチック、目を見張る贅沢さ、華麗にして絢爛豪華な世界へ! 『ムーラン・ルージュ! ザ・ミュージカル』が2023年夏に東京・帝国劇場で上演される。ナイトクラブ ムーラン・ルージュの花形スターで“ダイヤモンド”のように輝く存在のサティーン役を演じる、望海風斗さんにSTARRing MAGAZINEがインタビューした。

日本キャストでの上演は、ムーラン・ルージュのスターで、クリスチャンと出会い恋に落ちるが、病に冒されているサティーン役に、望海風斗・平原綾香。作曲家志望の青年でサティーンと出会い恋に落ちるクリスチャン役に井上芳雄・甲斐翔真(各役五十音順・敬称略)。ほか、豪華キャストの出演が決定している。

望海風斗、平原綾香  

井上芳雄、甲斐翔真

『ムーラン・ルージュ! ザ・ミュージカル』はバズ・ラーマン監督が映像によって作り上げた煌びやかなビジョンを、アレックス・ティンバース演出によってさらにパワーアップさせ、目眩く世界へと観客をいざなうミュージカル。2018年のボストン公演を皮切りに 2019年には NY ブロードウェイ公演がオープン。トニー賞最優秀作品賞(ミュージカル部門)をはじめとする10部門の受賞に輝いた作品。

劇中には、19世紀にオペレッタを創始したオッフェンバックから、ローリング・ストーンズ、エルトン・ジョンやマドンナをはじめとする20世紀に大流行したメガヒット曲、21世紀が生んだ最高の歌手レディー・ガガまで、160年以上にわたるポピュラーミュージック約70曲が散りばめられている、マッシュ・アップ・ミュージカルだ。


サティーン役を演じるにあたり、NYブロードウェイで同作品をご覧になった望海風斗さん。最初の質問は作品のテーマの印象を伺った。

 

この物語で謳われるのは、「真実」「美しさ」「自由」──そして何よりも、「愛」。

Truth. Beauty. Freedom. And above all things... Love.

「愛」Love

『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』を、NYブロードウェイで観劇してきました。

映画をご覧になっている方も多いと思いますし、観客の多くは、これは「愛」の物語だと分かって観るのではないでしょうか。知っていながらも、舞台では生身の人間が毎公演を通して今という瞬間に作り出す「愛」が存在し、本当の「愛」が生まれるのを目の当たりにします。お互いが出会ったリアルな感情が芽生え、いろんな物事が起こる状況で、登場人物たちが何を選択していくのかが描かれています。

私が演じるサティーン役は、自分の心にぐいぐい入り込んでくるクリスチャンの存在に気持ちが揺れ動いていくのですが、さまざまな人生の選択をし、理性で動かなければいけないサティーンに対して、彼はとても本能的な人だと思います。サティーンはクリスチャンにどんどん惹かれていき、観客もその場で生まれる「愛」の物語を一緒に体験してきたからこそ、最後は二人の結末を共に見守ることになるんですね。

「愛」は、いろんな形で存在します。クリスチャンとサティーンはもちろん、サティーンがムーラン・ルージュという劇場に感じる「愛」もそうです。自分が守りたい居場所である、“ホーム”への愛情です。ジドラー(ナイトクラブ ムーラン・ルージュのオーナー兼興行主)への愛情は親代わりになってくれた人への「愛」、他にも、一緒に仕事をしてきた仲間たちへの「愛」など、いろいろな「愛」の形があります。

サティーンの「愛」、他の役が誰かに向ける「愛」、そのように物語の中でいろんな人に向けられる愛が溢れている世界だな、と思いました。

デューク(クラブのパトロンである裕福な貴族モンロス公爵)とは、ボタンのかけ違いのような関係であり、彼は「愛」ゆえにクリスチャンとサティーンの仲を引き裂いてしまいます。

そういった「愛」の数々が、もの凄く渦巻いている作品です。

 

「美」Beauty

もう劇場に入った瞬間から、『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』の「美」の世界が始まっていました。

何かが、誰かが、美しいというのではありません。その場所にいる全員が『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』という「美」の世界を作り上げ、守り続けている、という感覚を受けました。

サティーンは、輝くダイヤモンドにも例えられる看板スターです(サティーンの登場曲は ♪The Sparkling Diamond)。でも、決して見たままの美しさだけではない、人生の最後まで自分の生命を生き抜く人間的な内面の美しさもあると、舞台の姿を観て感じました。

そして、セットも豪華で、世界観のすべてがゴージャス! 普段の生活では味わえない世界観を体感できました。

彼女の「真実」は誰にも最後まで打ち明けられないけれど(サティーンには病魔が忍び寄っていた)、自分の「真実」の物語をクリスチャンに残していく姿も、やはり美しいと思いました。

この物語が語っている「真実」「美しさ」「自由」「愛」がどういうものなのか、これからもっとお稽古を通して発見していきたいな、と思っています。

Moulin Rouge! The Musical Boston Set Photo by Matthew Murphy.

 

宝塚歌劇団 元雪組男役トップスター・望海風斗さんが語る、撮影の裏話

 

作品の世界観が素敵に表現されている、ロマンティックな公演ビジュアル。撮影エピソードを教えてください。

宝塚歌劇時代も沢山ポスターを撮っていましたし、第一印象が大事なので、ビジュアルはやはり大切だと思っています。

撮影の説明を聞いたときは、「このポーズをするのか!」と思いました(笑)。相手は、舞台『ネクスト・トゥ・ノーマル』の息子役で共演した甲斐翔真くん。どうやって気持ちを作ろう…と考え込む時間もなく、カメラの前に立っていました。良いものにしたいので、どうしたら綺麗に、素敵に見えるだろう、と思いながら撮影しました。

角度が、結構難しかったですね。こちら側(望海さんは宝塚歌劇団の男役トップスターだったので、男性側)は本当によく分かるんですけれど(笑)、私自身はなかなか慣れない姿で、未知の世界でした。でも、そのような印象を持っていただいて皆様にも喜んでもらえていたら、とても良かったです。

 

ニューヨークで作品を体感、舞台を演じる側に

ニューヨークは、久しぶりでしたか。

ニューヨークを訪れたのは15年ぶり、2回目です。

NYブロードウェイの雰囲気は、いかがでしたか?

観客側が凄い! 自分が愉しみに来た、というのが強くて、エネルギーに満ち溢れていました。自由に笑いながらずっと観ていたと思ったら、物語にもの凄く集中して結末を見守るような、劇場の一体感を感じました。あのような体験は、初めてでした。

『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』を現地で観劇したご感想、今度は演じる側になるお気持ちは?

パリのムーラン・ルージュの世界観を劇場全体で表現する発想が、面白いですよね。いつの間にかムーラン・ルージュの世界観に入り込んでいます。NYブロードウェイの中でも、他の作品にはない魅力です。

開演前から始まる、ダンスパフォーマンスにも圧倒されました。上演まであと何分、とブザーが鳴るのではなく、どこから始まっているか分からない、劇場に足を踏み入れた瞬間からこの世界にようこそ、という新しい体験でした。お土産物を選ぶのも、世界観のひとつですし(笑)、本当にテーマパークに来たような感覚でした。

有名な曲を数多く使用しているので(使用楽曲は70以上)音楽がメインなのかな、と思ったのですが、想像していたよりお芝居の部分がきちんと描かれていると感じました。いまはお稽古期間中で、先日、作品の音楽監督であるジャスティン・レヴィーンさんが、日本カンパニーの稽古場に遊びに来てくださいました。なぜこの曲を入れて、このようなアレンジになっているのか、直接お話を伺えたのは、私にとってとても大きなことでした。(*5月取材時)

この作品には多くの曲が使われているのですが、ただ良い曲だから組み込まれているのではなく、ストーリーに合わせて曲が組み込まれているので、場面にしっくりきます。サティーンは強い声を必要とするので、男役の時のようなエネルギーを使う発声の経験が活かせると思います。ジャスティンさんが何回も練習すれば筋肉が覚えるから、とおっしゃっていたので高音でも使えるように鍛えていきたい、と思っています。

こんなにも一つの作品で、いろいろな経験ができる、自分がワクワクした素敵な作品に参加できることが、本当に嬉しいです。

 

この夏、帝国劇場がムーラン・ルージュに!

『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』が、日本の東京・帝国劇場でいよいよ幕を開けますね。

帝国劇場で作品が出来るのは、楽しみです。「こうなるんだ!」と、まず私たちが感動を先に味わって、舞台を作り上げる準備をしながら、皆様にも早くワクワクする体験をして頂きたいな、と心待ちにしています。お客様からどんな反応があって、化学変化が起きるのだろう、と期待しています。

「ミュージカルを観に来たけれど、気づいたら一体どこに自分がいるんだろう! でも凄く楽しい!」みたいな(笑)、私自身が経験した感覚を味わえる時間になって頂けたらいいな、と思っています。

あの世界を体験したからこそ、お見せする側としては、日本のお客様がどのように感じ取ってくださるのだろうかと、今から初日が楽しみです。


サティーンのゴージャスな衣裳!

サティーンの衣裳を楽しみにされている方も、多いと思います。

あの世界観に入り込んだら、何でもあり得る気がします。露出の多い衣裳を着るのかしら、と心配されている方もいらっしゃるかもしれませんが(笑)、作品に入ったら私自身はまったく気になりません。『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』が持つ作品の力ですべてが成り立つと思っています。


初舞台から記念すべき20年目に、名だたる演劇界の賞を受賞! さらなる前進


「第30回読売演劇大賞 優秀女優賞」に続き、「第48回菊田一夫演劇賞」を受賞。おめでとうございます。受賞のご心境は?

私自身が一番驚いています。ちょうど初舞台を踏んでから、20年目。自分にとって節目の年に、こうして本当に大きな賞をいただけて20年間頑張ってきて良かった、と思いました。本当に沢山の方々にお世話になって、ここまで続けることができました。本当に、関係者の皆様に感謝の気持ちでいっぱいです。賞のために頑張っているわけではないのですが、こうして頂けたことで、またさらに今後も頑張りたいな、という気持ちが一層強くなりました。ありがとうございます。

 

一緒に『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』の世界へ

お客様にメッセージをお願いします。

お客様と体験を共有し合いたいので、ぜひ今年の夏は、帝国劇場の『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』の世界に足を踏み入れてもらえれば嬉しいです。そして、みんなで一緒に“カンカン”しましょう! 是非お待ちしております。

 

そこはナイトクラブでありダンスホール、劇場でもある、まさに夢のような空間。

望海さんがNYブロードウェイで体感した圧倒的な美の世界が、今夏、帝国劇場に。この機会をお見逃しなく!

本作でトニー賞ミュージカル演出賞を受賞したアレックス・ティンバースが演出を務め、脚本は同賞ミュージカル脚本賞受賞のジョン・ローガン、音楽監督・オーケストレーション・編曲は同賞オーケストラ編曲賞受賞のジャスティン・レヴィーン、そして同賞振付賞受賞のソニア・タイエ、世界最高峰のクリエイターたちが皆様へお贈りする、『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』。

あらすじ
物語の舞台は1899年のフランス・パリ。ムーラン・ルージュの花形スターであるサティーンはアメリカ人作曲家クリスチャンと激しい恋に落ちる。しかし、クラブのパトロンである裕福な貴族デューク(モンロス公爵)が2人の仲を引き裂き……。

<Information>

日程:2023年6月29日(木)~ 8月31日(木)
プレビュー公演  2023年6月24日(土)~ 6月28日(水)
会場:帝国劇場

公式サイト https://www.tohostage.com/moulinmusical_japan/

キャスト(各役五十音順表記)
サティーン:望海風斗 平原綾香
クリスチャン:井上芳雄 甲斐翔真
ハロルド・ジドラー:橋本さとし 松村雄基
トゥールーズ=ロートレック:上野哲也 上川一哉
デューク(モンロス公爵):伊礼彼方 K
サンティアゴ:中井智彦 中河内雅貴
ニニ:加賀 楓 藤森蓮華

ラ・ショコラ:菅谷真理恵/鈴木瑛美子
アラビア:磯部杏莉/MARIA-E
ベイビードール:大音智海/シュート・チェン
ほか

公式HP https://www.tohostage.com/moulinmusical_japan/
Twitter https://twitter.com/MoulinMusicalJP
Instagram https://www.instagram.com/moulinmusicaljp/

 

ジャケット、タンクトップ、パンツ  
全て ファビアナフィリッピ
問合せ先:株式会社アオイ 03-3239-0341

ネックレス、ピアス、パールとシルバーのリング、 
シルバーリング、ゴールドリング 
全て ブランイリス トーキョー
問合せ先:03−6434−0210

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編集後記はこちら

 

photo by 山崎あゆみ(Ayumi Yamazaki)http://ayumiyamazaki.com/
東京を拠点に建築、旅、人物と幅広いジャンルを撮影。

text by 鈴木陽子(Yoko Suzuki)
CS放送舞台専門局、YSL BEAUTY、カルチャー系雑誌ラグジュアリーメディアのマネージングエディターを経て、エンタテインメント・ザファースト代表・STARRing MAGAZINE 編集長。25ヶ国70都市以上を取材、アーティスト100人以上にインタビュー。

 
 
 

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