世界初のバレエ化となるアラスター・マリオットの『街の灯』が開幕

10月23日、新国立劇場バレエ団は 2026/2027 シーズンの幕開けとして、チャールズ・チャップリンの不朽の名作映画『街の灯』(City Lights)バレエ版を世界初演。笑いと悲哀、そして純粋な無償の愛を描き、映画史に燦然と輝く喜劇王チャップリンの不朽の名作『街の灯』を、世界で初めてバレエ舞台化した。

英国ロイヤルバレエで長年活躍し、英国バレエならではの演劇性を知りつくすアラスター・マリオットが、チャップリン特有のユーモアと繊細な人間愛を、バレエという言葉を超えた身体表現で鮮やかに描き出している。

チャップリン・オフィス代表のアーノルド・ロザーノは本プロダクションを「チャップリン作品の核心にある“普遍的な人間愛”の不朽の証」だと語った。言葉がなくとも、雄弁に人の心を揺さぶる。舞台写真、振付のアラスター・マリオット、チャップリン・オフィス代表のアーノルド・ロザーノによる初日を迎えてのコメントが届いた。

振付 アラスター・マリオットよりメッセージ

『ジゼル』で吉田都さんとご一緒できた素晴らしい経験を経て、再び都さん、そして新国立劇場バレエ団と仕事ができることに胸を躍らせていました。提案したプロジェクトの中から彼女が『街の灯』を選んでくれた時は、心から嬉しく思いました。

チャールズ・チャップリンは幼い頃からの私のヒーローのひとりであり、『街の灯』は常に私の心の中で特別な存在であり続けています。思いやり、愛、そして人間らしさに満ちたその美しいストーリーは、全幕バレエの着想源としてまさに完璧だと感じました。

チャップリンは、自身の映画のシーンは綿密に振り付けられリハーサルされた、ダンスのようなものだと考えていました。だからこそ、『街の灯』をダンスによって舞台に蘇らせ、その考えをさらに一歩進めるというアイデアに強く惹かれたのです。

チャップリン・オフィスから本プロダクション制作の許諾をいただき、ティモシー・ブロック氏がチャップリンのオリジナルスコアを編曲してくださったことを、心から光栄に思います。

都さん、チャップリン・オフィス、ティモシー・ブロック、ジョナサン・ハウエルズ、ディック・バード、エレン・ルーゲ、そしてこの特別なプロジェクトの実現に向けて力を尽くしてくれた素晴らしいダンサーの皆さんや舞台裏のスタッフ全員に、心からの感謝を申し上げます。

私が制作の過程を心から楽しんだのと同じくらい、観客の皆様にも『街の灯』をお楽しみいただければ幸いです。

チャップリン・オフィス/Roy Export 代表 アーノルド・ロザーノよりメッセージ

1909年のパリ。まだ20歳だったチャールズ・チャップリンが一本の映画も撮っておらず、ミュージック・ホールの舞台でツアーを行っていた頃、クロード・ドビュッシーは彼に「君は本能的にミュージシャンであり、ダンサーだ」と語りました。チャップリンが映画スターとなり、象徴的な「小さな放浪者(トランプ)」を生み出した2年後の1916年、ヴァスラフ・ニジンスキーもまたその思いに共鳴するように「あなたのコメディはバレエ的だ。あなたはダンサーだ」と言いました。それから100年以上を経て、新国立劇場バレエ団によるバレエ版『街の灯』において、それらの言葉は目覚ましい結実を見せています。チャップリン・オフィスは、この素晴らしいプロダクションを心から祝福いたします。本作は、チャップリンの芸術がいかに自然にダンス、特に彼が深く敬愛したバレエと結びつくかを明らかにしています。

音楽はチャップリンの映画制作の核心であり、本プロダクションは序曲の最初の1音からその素晴らしい遺産への敬意が表されています。本作品のためにティモシー・ブロック氏が見事に編曲したスコアは、チャップリン自身が作曲した『街の灯』の音楽を中心に、彼が書いた楽曲の選曲、そしてブロック氏によるオリジナル楽曲で構成されています。チャップリンのメロディは彼の物語表現において不可欠な要素であり、ここではダンスを通じて新たな命を吹き込まれています。

アラスター・マリオットはリトル・トランプ特有のよちよち歩きを交えながら動きで物語を紡ぎ出し、ソロ、パ・ド・ドゥ、そして群舞へと私たちを導きます。『街の灯』を象徴する優しさ、ユーモア、そして気品は、マリオットの独創的な振付のビジョンの中に響き渡っています。ディック・バードによる美術・衣裳デザインとエレン・ルーゲによる照明はまさに圧倒的で、映画を想起させつつも、彼ら自身が創り出した1930年代のファンタジーの世界へと私たちを引き込みます。

映画の公開から約1世紀が経った今、チャップリンの芸術がダンサー、振付家、美術・衣裳・照明デザイナーといった非常に多くのアーティストを刺激し、新たな作品を創り出す原動力となっているのを見ることは、深く胸を打つものがあります。そして、客席から笑い声が聞こえ、観客の涙を目にするとき、その感動はさらに深まります。彼らの仕事は、チャップリンの芸術的遺産が今なお世界中のアーティストと観客を感動させ、結びつけ続けていることを美しく思い出させてくれます。本プロダクションは、チャップリン作品の核心にある“普遍的な人間愛”の不朽の証です。

新国立劇場の皆様、そしてこのプロダクションに命を吹き込んでくださった素晴らしいアーティストのチーム全員に、深く感謝申し上げます。


(写真)
新国立劇場バレエ団『街の灯』
撮影:鹿摩隆司 
Charlie Chaplin™ ©  Bubbles Incorporated SA

奥村康祐:放浪者(リトル・トランプ)
米沢 唯(盲目の花売り娘)

初日、まるで無声映画を観るように、客席から笑いがこぼれ、ホロリとさせられ、心が温かくなった。バレエならではの表現と、チャップリンの世界に魅せられる舞台。終演後は拍手が鳴り止まなかった。公演は11月1日まで。

 

新国立劇場バレエ団 / The National Ballet of Japan / 街の灯 / City Lights / チャールズ・チャップリン / Charlie Chaplin
奥村康祐 / 米沢 唯
中家正博 / 木村優里 / 福岡雄大
宇賀大将 / 直塚美穂

<Information>

2026/2027 シーズン 
昭和100年記念公演 
令和8年度(第81回)文化庁芸術祭主催公演

『街の灯』〈新国立劇場バレエ団委嘱作品・世界初演〉
City Lights 

公演期間:2026年10月23日~11月1日
会場:新国立劇場 オペラパレス
 

振付:アラスター・マリオット
原作:チャールズ・チャップリン
音楽:チャールズ・チャップリン / ホセ・パディーヤ『La Violetera』

出演:新国立劇場バレエ団
芸術監督:吉田都

公式サイト
https://www.nntt.jac.go.jp/ballet/citylights/

 

text by STARRing MAGAZINE 編集部

 
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