開幕直前!「シルヴィ・ギエム&デヴィッド・ホールバーグ記者会見」、オーストラリア・バレエ団『ドン・キホーテ』公開リハーサル

photo: Shoko Matsuhashi

いよいよ開幕する15年ぶりの日本公演のために、オーストラリア・バレエ団(以下、TAB)が来日! 公演に先駆けて、今回の日本公演で上演するヌレエフ版『ドン・キホーテ』の作品指導を務める伝説のバレリーナ、シルヴィ・ギエムさんとデヴィッド・ホールバーグ芸術監督による開幕記者会見と公開リハーサルが行われました。シルヴィ・ギエムさんが記者会見に応じるのは引退後の2018年以来のことで、さらに作品指導の様子を公開するのは初めてのことです。2023年、TABのヌレエフ版『ドン・キホーテ』新制作の際、ホールバーグ芸術監督が依頼してシルヴィ・ギエムさんをゲストコーチに招き、日本公演にも参加されます。

ホールバーグ芸術監督は作品指導について、「ダンサーの一人一人の個性を活かして、存在を認めた上で指導して頂いたのが嬉しかった」と語りました。シルヴィ・ギエムさんからは「ルドルフと私はさまざまな作品でご一緒しました。彼が持つ知性、賢さ、ときにユーモアがバレエ団の踊りに反映されていると感じる」と語り、「(ホールバーグ芸術監督から)私は物事のシンプルさを好むのですが、一緒に仕事をしたいかどうか聞かれて、その質問方法にも優しさを感じ、ぜひ受けてみたいと思いました」と芸術監督からオファーがあった際の様子を話して頂きました。

記者会見には、初日の主演を務めるプリンシパル、アコ・コンドウ(近藤亜香)さんとチェンウ・グオさんも登壇。近藤亜香さんは、日本語で挨拶。「シルヴィさんに最初お会いした時は、もの凄く緊張しました。でも、テクニックのことはこれまで一度も言われず、キトリのキャラクターをどう生きるのか、チェンウが踊るバジルとの関係性をお客様にどう伝えるのかということに重きを置いて指導いただきました」「悩んでいる時に、一つの型にはまらず、こういうことをやってみたらどうか、というダンサーとして最終的に自信に繋がる指導をして頂きました。シルヴィさん、デヴィッドさん、サポートして頂いているバレエ団のアーティストを支えるチームがいることが心強く、自信を持って楽しんで踊ることができるようになりました。自分の中で成長を感じているので、日本に帰ってきて『ドン・キホーテ』を踊ることができるのを楽しみにしています」と話してくれました。パートナーのチェンウ・グオさんは「シルヴィ様」と呼び、「神様のような存在とお仕事ができると思っていませんでした」「最高位のプリンシパル以上のことを目指すにはどうすればいいのかと悩むこともありましたが、技術的にも精神的にも安全できる環境で自分らしさを重んじて踊ることを、シルヴィ様から教わりました。誰かに認められたりするのではなく、自分というアーティストがやっと完成されたというような感覚です。楽しむことが大事。ダンサーとしても人間としても、高めて頂きました」と感謝の言葉を述べました。

開幕記者会見に、初日を踊る近藤 亜香とチェンウ・グオも登壇


公開リハーサル
キトリ役:ジル・オオガイ、バジル役:マーカス・モレリ

リハーサルで踊ったプリンシパルダンサーは、飛行機で日本に着いたばかり。本番までさらに仕上げていくという趣旨の芸術監督の言葉が冒頭にありました。

バレエ界で伝説のお二人が作品指導に揃い、稽古場で公開リハーサル。デヴィッド・ホールバーグ芸術監督が、シルヴィ・ギエムさんに全幅の信頼を寄せていることがよく分かり、監督は鏡の前に座りながら時には立ち上がってダンサーのフォローをするように、キトリの手を取るバジルの動きを見せることも。一瞬の動きにも、役のニュアンスが感じとれ、バジル役のマーカス・モレリさんが続いて踊ります。キトリ役のジル・オオガイさんは、笑顔も稽古場での佇まいもチャーミング。実際に何度か動いてみてシルヴィ・ギエムさんに相談し、談笑する明るい様子が見られました。マーカス・モレリさんは、精悍でエキサイティングな踊りで魅了し、同時にパートナーとの動きの細部まで踊りを詰めていく様子にクレバーな一面が見られました。

音楽をよく聞く、リフトを演技の流れで行う、繰り返される振りを1回目と次でニュアンス変えていく、スピードの緩急をつけるなどのアドバイスがシルヴィ・ギエムさんからありました。そしてホールバーグ芸術監督が一言添えたり、役の動きを見せたりすることによって、触発された主演コンビから自発的にキャラクターが生まれてさらに活き活きと立ち上がってくる様子が伝わります。

ホールバーグ芸術監督が可能性豊かな才能溢れるプリンシパルたちを見守る、現在のカンパニーが持つ温かな雰囲気を感じ、それでいてダンサーの持っている才能や力を発揮してもらうことに注力して見据える眼差しが印象的でした。

芸術監督が目指すのは、高度なテクニックを超えて、ダンサーたちの人間性で踊ることを期待するヌレエフ版『ドン・キホーテ』。日本での上演が待たれます。

先日のSTARRing MAGAZINEインタビューでは、ホールバーグ芸術監督にダンサーが全力を出し切るために日頃より考えていることを語って頂きました。シルヴィ・ギエムさんに対する厚い信頼、本日の記者会見とリハーサルに参加頂いたプリンシパルへのコメントも掲載された、デヴィッド・ホールバーグ(オーストラリア・バレエ団芸術監督)のインタビュー記事はこちら!

インタビュー記事
【来日インタビュー】デヴィッド・ホールバーグ(オーストラリア・バレエ団芸術監督)が、日本公演のヌレエフ版『ドン・キホーテ』、主演ダンサーについて語る!

【来日インタビュー】デヴィッド・ホールバーグ(オーストラリア・バレエ団芸術監督)が語るバレエ芸術

*出演者最新情報は、公式サイト参照
公式サイト
https://www.nbs.or.jp/stages/2025/australia/

 

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デヴィッド・ホールバーグ(オーストラリア・バレエ団芸術監督)に、来日インタビュー!