東京バレエ団『春の祭典』(ジル・ロマン振付指導) 公開リハーサル

生贄:南江祐生
photo: Shoko Matsuhashi

今月2月末に開幕を控えた、東京バレエ団〈レジェンズ・ガラ〉で上演されるモーリス・ベジャール振付『春の祭典』のリハーサルが公開されました。〈レジェンズ・ガラ〉は、モーリス・ベジャール、 ジョン・ノイマイヤー、イリ・キリアンという20世紀を代表する、3名の振付家の傑作を上演するトリプル・ビル。ベジャール振付『春の祭典』は、死と再生という生命の本質を抽出する爆発的なエネルギーに満ちた、バレエ史上の金字塔です。直近では2024年にイタリアツアーで上演し絶賛を博した作品で、国内での上演は7年ぶり。イタリアでロールデビューを果たしたダンサーが同役で主演を果たし、ダブルキャストによる上演も見どころの一つです。モーリス・ベジャール本人から直接学んだジル・ロマン氏が指導にあたり、初演時のニュアンスを受け継ぎながら、ダンサーたちを教える様子がリハーサルで公開されました。

 

公開リハーサル 
(2月28日公演 出演キャスト)


生贄:長谷川琴音、南江祐生
2人のリーダー:鳥海創、陶山湘
2人の若い男:井福俊太郎、山下湧吾
4人の娘役:金子仁美、足立 真里亜、政本絵美、工桃子

 

『春の祭典』は、イーゴリ・ストラヴィンスキーによる衝撃的なまでの複雑なリズムや調性の音楽に乗せて、原始的な儀式が踊りとして描かれます。公開リハーサルでは、作品の中心を担う生贄役の南江祐生に、腕に重みをかけるように下にプッシュする、這いつくばってもっと鼻を地面に近づけて匂いを嗅ぐ、というような振りを自ら見せ、ベジャールから学んだ動きを「熊のように」と、棒を使った稽古で示す場面が見られました。「OK, OK」「Voilà」と、その感じで、の意味合いの声がけをする場面が沢山あり、生贄役の2人のダンサーが振りの本質と動きを身体に染み込ませて次第に体得していく様子が短時間のリハーサル公開でも伺えました。男性の群舞はまるで地響きでその場が揺れるような迫力、神秘的な女性の群舞は「4人の娘役」にも細かく振りの指導がされ、南江祐生や長谷川琴音をはじめとするキャスト全員が集中して場面に取り組みます。ハードな作品でダンサーの息遣いが感じられ、稽古場に溢れる熱気と緊張感の中で、本番に向けて準備が進められます。「2人の若い男」役の池本祥真ほか、先に指導を受けたダブルキャストの主要ダンサーも、稽古場の奥でジル・ロマンの言葉を聞きながら同様の動きをしてさらに練習を重ねる様子も印象に残りました。

photo: Shoko Matsuhashi

 

公開リハーサル後は、ベジャール作品振付指導者であるジル・ロマンと佐野志織(東京バレエ団芸術監督)が、会見に出席しました。

ジル・ロマン

(本日リハーサルの印象を聞かれて)素晴らしいですね。生贄役の2人は役にぴったりで、純粋で、見ていて心を打たれました。もちろん初日組キャストも素晴らしく思います。

(この作品において、ダンサーの最大の課題は?)音楽や動きの意味を、しっかりと理解すること。作品の中で、役を生きることが重要です。その意味でも、今日の2人は課題を乗り越えていて、生きる力を感じました。女性の生贄は強く踊られる傾向にありますが、力強さだけではなく、柔らかさを持たなければなりません。男性の生贄は、どこか自分を見失っているところがあります。当初ベジャールが言っていたのは、女性が男性を導いてリードするように創っている、それぞれが役としてのバランスを保つことが大切です。

(当時と現代の変化について)これだけの傑作なので、何も変えずに作品のスタイルを伝えるようにしています。当初の意図や役の意味について、ベジャールから教わった言葉や動きのニュアンスをそのままダンサーに伝えています。木の棒を腕に通して「熊のような姿勢で」、(生贄が片目を塞ぐポーズで)「車のライトが目に入って眩むように」というのは、実際の稽古当時の言葉です。

『春の祭典』には、生身の人間の美しさがあります。東京バレエ団も非常に良い状態で、とても良い作品になると思います。ぜひ観にいらしてください。

佐野志織(東京バレエ団芸術監督)
 
2024年にイタリアで上演した公演をさらにブラッシュアップするために、ジル・ロマンさんに指導に来ていただきました。東京バレエ団のアンサンブルは綺麗に揃っていますが、この作品に関しては美しく踊りすぎてはいけないというのも重要です。個々があった上での力強さやエネルギーを感じさせる、『春の祭典』をお届けできればと思います。

 

photo: Shoko Matsuhashi

 

東京バレエ団の多彩なレパートリーの中から、20世紀が誇る巨匠たちの珠玉の名作を集めたトリプル・ビル

LEGENDS GALA 〈レジェンズ・ガラ〉
ベジャール『春の祭典』×ノイマイヤー『月に寄せる七つの俳句』×キリアン『小さな死』
https://thetokyoballet.com/performance/tbgala2026/

 

Performing Arts / Ballet / バレエ / Rehearsal
東京バレエ団 / 春の祭典 / ベジャール / ジル・ロマン

 
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