バリ島の暮らしと美意識に触れる渓谷の隠れ家 星のやバリ HOSHINOYA Bali
— Philosophy of “Cultural Wellbeing”
バリ島ウブドの東側、熱帯の樹々に抱かれるような「HOSHINOYA Bali(星のやバリ)」。周囲の景観に溶け込むように、まるで一つの集落のように佇んでいる。バリの神話に語り継がれるプクリサン川が流れる渓谷の上にある約3ヘクタールの広大な敷地には、ヴィラやガゼボ、ダイニングが点在する。
深い緑と水の流れに癒され、バリ文化芸術の中心地であるウブドに息づく美意識や精神文化に触れながら、土地とのつながりを滞在の体験で感じていく。
水と緑に囲まれた知られざるウブドの集落
A Hidden Sanctuary in Ubud
渓谷から流れる風が通り抜ける、バリ風の東屋であるガゼボは心地よく涼しい。聖なる川の清らかな恵みを受けるプールが、滞在するヴィラの間を縫うように星のやバリ全体に流れ、建築と自然が溶け合う風景を形づくる。
Cafe Gazebo カフェ・ガゼボ
Wellness Gazebo ウェルネス・ガゼボ
渓谷の自然と一体となるようなプールが流れる
バリ文化と美意識に触れる時間
Rooted in Culture
星のやバリで過ごす時間は、地元の人々が日々大切にしてきた暮らしや祈り、美意識に触れながら体験を深めていく。
バティック・サヤ
Batik Saya
ユネスコの世界無形文化遺産にも登録されている、ろうけつ染めを体験
デザインのモチーフを選ぶ
チャンティンと呼ばれる道具を使い、ろうを落として繊細な線を布に描画
最初の文化体験は、パブリック・ガゼボで行われる「Batik Saya(バティック・サヤ)」。インドネシアの伝統工芸であるろうけつ染め「バティック」を、自らの手で作って体験する。伝統的な道具を使いながら模様を描き、色を重ねる工程を通して、バティックに受け継がれてきた歴史や文化にも触れることができる。
花や伝統文様などさまざまなモチーフから好みの柄を選ぶことができ、今回は学問や知恵、幸福を司る神として親しまれるガネーシャのデザインを選んだ。完成した作品は、旅の思い出とともに持ち帰ることができる。
小さなパイプ状の伝統的な道具「Canting(チャンティン)」を使い、ろうをのせながら下絵を描いていく作業は想像以上に繊細だ。思い通りに細かな線を描いていく難しさも、この伝統工芸ならではの奥深さである。大きさの違う筆で丹念に色を塗り重ねると、自分の手で描いた模様が浮かび上がって完成する。
自分だけのバティックが完成
風が吹き抜けるパブリック・ガゼボで、ゆっくりと手仕事に向き合う時間も、この体験ならではの魅力だ。自然に囲まれた穏やかな空間で伝統工芸に触れ、自分だけの1枚を仕上げるひとときは、バリの伝統文化を感じる豊かな時間となった。
Public Gazebo パブリック・ガゼボ
バリ舞踊レッスン
Balinese Dance Lesson
続いて体験したのは、ウェルネス・ガゼボで行われるバリ舞踊レッスン。優雅な印象とは裏腹に、目線や指先、肩や腰の細やかな動きまで意識するバリ舞踊は、全身の所作を通して物語や感情を表現する伝統芸能だ。
身体を動かしながらその美意識や表現に触れていく時間は、鑑賞するだけでは得られない文化体験となる。レッスンの後には実際の舞踊衣装やメイクも体験でき、華やかな世界観をより身近に感じられる。
▶ バリ舞踊レッスンを体験する
森の中のガゼボで学ぶ伝統舞踊
土地に根づく食文化と美意識
Culinary Experience
手仕事や芸術体験にとどまらず、食を通してもまた、この土地に息づく文化の美意識に触れていく時間となる。
自然と共鳴する豊かな食の時間
土地のディナーを味わう文化体験
Balinese Dinner Experience
Nusantara Set Menu ヌサンタラセット
スパイスを用いたインドネシア各地の料理
Bali Harmony Set Course バリ・ハーモニー コース
バリの思想を軸に構成された、人・自然・神との調和を表すディナー
渓谷に面したダイニングは窓を持たず、ジャングルそのものを眺めるように設計されている。
バリ・ハーモニー・セットコースは、バリの哲学「Tri Hita Karana(トリヒタカラナ)」をテーマに、人・自然・神との調和を一皿ごとに表現した、星のやバリならではのコースディナーだった。
前菜は神との調和、魚料理は自然との調和、肉料理は人との調和を表現し、満月と新月をテーマにしたデザートで締め括られた。スープ(沐浴)と名付けた前菜などから始まり、古来の調理法を使ったバナナの葉でじっくり焼き上げたビーフ、バリチョコレートで月を表現するデザートなど、生活に根ざした信仰心の表現が印象に残った。
カフェ・ガゼボで空中に浮かぶ時間
Cafe Gazebo Floating in the Jungle
深さ約 170 メートルの渓谷にせり出すように造られた7つのカフェ・ガゼボは、まるでジャングルに浮いているような感覚をもたらす。
空中ガゼボの朝食 ピクニック風
Air Gazebo Breakfast
Jamu ジャムウ
ガゼボでのピクニックスタイルの朝食は、バリの伝統的な黒米のプディング「ブブール・インジン」を中心にサラダやフルーツなどの軽やかな料理だ。「Jamu(ジャムウ)」は、民間療法でも用いられ、処方(レシピ)で効能が変わる伝統的なドリンク。カフェ・ガゼボで朝食と出されるモーニング・ジャムウは、身体を目覚めさせてくれる。「Wedang(ウェダン)」は、身体を内側から温めるバリの温かいドリンク。どちらもハーブやスパイスを使って身体を整えるための、土地の知恵に根づいた自然由来の飲み物である。
近隣のライスフィールドの散歩、ヨガ・ガゼボで深呼吸ストレッチなど、アクティビティ体験の後にガゼボで朝食を取って気分をリフレッシュ
チャミラン・ガゼボ
Chamilan Gazebo, Afternoon Experience
午後は、空中ガゼボでのアフタヌーンティー「Chamilan Gazebo(チャミラン・ガゼボ)」を体験。「クエラピス」「クエブギス」「クエサランセム」といった米粉やココナッツを使うバリの伝統菓子のスイーツや、「ベトゥトゥ」と呼ばれる鴨肉を詰めたてまり寿司などのセイボリーが並び、土地の食文化を一口サイズにアレンジした独創性が感じられる。
お茶は、5種類の茶葉をベースに、しょうが、レモングラス、ライム、はちみつ、角砂糖などを組み合わせて、自分の好みで味わう。
バリの文化を感じるティースタイル
夜のジャングル
Bar Time, Night Jungle
夕食後は、レストランの隣のバーで、カクテルを愉しむ時間だ。夕方から夜にかけてのジャングルは一層静まる。その中で味わう美しく鮮やかなカクテルには、バリに伝承される神話にインスパイアされた名前が付けられていた。星のやバリの食体験は、料理を中心にしながらも物語があり、この土地の文化へとつながっている。
静寂と余白がもたらす豊かさ
Quiet Luxury
ヴィラ・ジャラク
Villa Jalak
Villa Jalak ヴィラ・ジャラク
バリ芸術のカーヴィング(彫刻)が施された寝室
バリの伝統建築様式を取り入れたヴィラは、プライベートテラスの先に川を模したプールに続いている。水音の気配を感じながら、滞在の時間が静かに流れていく。
寝室の壁面には、バリの職人によるカーヴィング(彫刻)が施され、草花や生き物をモチーフにした姿が浮かび上がり、幻想的な雰囲気を演出している。
ヴィラ・ジャラクのリビングは、東向きに面しているので、朝は神々しさを感じる陽の光に部屋が包まれる。
ジャングルを眺めるリビング
すべてのヴィラから続くプールは、さらに最長70メートルのロングプールに続いている
バリニーズマッサージ
SPA Balinese Massage
スパ体験は、エレベーターで谷の中腹へと降りていくところから始まる。高さが下がるにつれて、眺めは建築から深い森の奥へと移り変わる。到着すると、樹々に包まれた圧倒的な自然のエネルギー空間が広がっている。
深い谷でスパ体験
トリートメントは、バリニーズマッサージの伝統をベースに、ジャムウや米由来の素材、ハーブ、フローラルオイルを用いて構成される。オイルトリートメント、スクラブ、ボディラップ、そしてフラワーバスへと続く120分のメニュー「BODY RELAXATION」は、身体を段階的に解きほぐしていく。
クライマックスは、森の奥に開かれたフラワーバス。周囲に人の気配がなく、森の緑と水面、そして美しい彩りが溶け合う。花々に満たされて身を委ねる時間は、感覚が研ぎ澄まされ、精神的な充足感を得る。
Flower Bath フラワーバス
ジャングルを眺めながら、贅沢に花々を浮かべた湯船で過ごす
ヴィラでの滞在は、朝は射し込む光で起き、昼は風が通って涼み、夜は自然の音に包まれて休息する。渓谷にせり出すガゼボは、ジャングルの上に浮かぶような感覚だった。
バリ・ウブドの深い森の気配が土地の文化の体験と重なり合い、星のやバリの旅の記憶として残った。
<Information>
HOSHINOYA Bali
星のやバリ
https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/hoshinoyabali/
Br. Pengembungan, Desa Pejeng Kangin, Kecamatan Tampaksiring, Gianyar, Bali, Indonesia
協力 HOSHINOYA Bali
photo & text by 鈴木陽子(Yoko Suzuki)
CS放送舞台専門局、YSL BEAUTY、カルチャー系雑誌ラグジュアリーメディアのマネージングエディターを経て、エンタテインメント・ザファースト代表・STARRing MAGAZINE 編集長。25ヶ国70都市以上を取材、アーティスト100人以上にインタビュー。