吉田羊 主演『リチャード三世』開幕前会見レポート “悪”を楽しむシェイクスピア、10人で描く濃密な演劇

撮影 加藤幸広

撮影 加藤幸広

パルコ・プロデュース2026『リチャード三世』 の開幕前会見が5月9日、PARCO劇場にて開催された。会見は舞台上で行われ、主演の吉田羊をはじめ、愛希れいか、中越典子、赤澤遼太郎、増子倭文江、浅野雅博、星智也、清田智彦、篠井英介、渡辺いっけいが登壇。1カ月以上に及ぶ稽古期間を振り返りながら、本作への思いを語った。

主演の吉田は、「こんなに残酷な話をやっているのに、稽古場では爆笑が起こるような毎日でした」と笑顔を見せた。自身が演じる悪役・リチャード三世については、「この作品の見どころの一つは、リチャードの大芝居。王様になるために企みを隠し、言葉巧みに良心のある人を演じている。到底なびかないだろうと思えた周りの人々が(リチャードの振る舞いによって)次々と翻意していく。そのさまが非常に爽快」「本来なら隠したい感情を、リチャードという役のフィルターを通して解放できるのが楽しい」と語り、“悪”を演じる面白さを明かした。

「醜い感情が乗るからこそ、その先にあるリチャードの悲しみ、切なさのようなものが生きてくるかなと思っているので思い切り演じていきたい」「彼に振り回されるそれぞれのキャラクターの背景にある思いになぞらえてご覧いただくと、非常に深く楽しんでもらえる作品となっています。リチャード含めて全57役、残りの56役を9人の皆さまに演じていただくことになります。こうしたとても演劇的な挑戦という部分もありますし、森新太郎さん演出ならではの疾走感のある『リチャード三世』をお届けします」と、作品の魅力を語った。

愛希は、「この作品の本当にすべてが見どころですが、羊さん演じるリチャードが、自分の思い通りになった時の楽しそうな表情がたまらない」「本当にひどいことをしているのですが、観ているお客様もその表情に乗せられて楽しくなってしまうのではないかなと思います」と、吉田が演じるリチャードの魅力を挙げた。

中越は、「天井が低くなっていて横に細長いシンプルなステージで芝居をしていくということに、最初は恐怖と不安でいっぱいでした。稽古で少しずつ積み重ねていくうちに3時間弱の物語ができていって、自分が出ていなくても心が締め付けられて泣けてしまうような場面ばかりなので全部が見どころ」と語った。

赤澤は、「毎日毎日密度が濃くて、楽しくて充実した稽古期間」と振り返り、「笑いが出る面白いシーンもあるので、これからお客様とどう作り上げていくのかも楽しみ」とコメント。「シェイクスピア作品は最初難しいと思っていたのですが、大事なのは台詞ではなくて裏にある役の感情だったり気持ちのやりとり。恐れることなく観ていただきたい」と語った。

増子は、「本当に楽をしている人が一人もいません」と座組を表現。「スタッフさんも死に物狂いで仕事をしています」と舞台裏の熱量を明かし、「どうぞ皆さん、この作品を観てください」と呼びかけた。浅野は、「やっと次のシーンが何か分かるようになってきた」と率直に語り、笑いを交えながら会場を和ませた。星は、本作で10以上の役を演じ分けることに触れ、「その素晴らしいキャスト、スタッフと、お客様のために頑張りたい」「10人がさまざまな役を演じることで、むしろ人物関係がシンプルになっている」とコメント。清田は、「本当にすごいチームワーク」と座組の結束力を強調。「このチームワークをぜひ感じてほしい」と語った。

篠井は、「羊さんがリチャード三世を演じられるなんて、これは見ものに違いないです!」「羊さんのリチャード三世に対し、絶世の美女マーガレットを演じさせていただきます(笑)」と語り、「物凄くカッコよくスタイリッシュな舞台」と自信を見せた。さらに、「10人が何役も演じるので、“あの人が次はこんな役を?”というゲーム感覚でも楽しめる」と見どころをアピールした。

渡辺は、「何役も演じ分けるということはなかなかないことで、こうして(複数の役で)稽古を重ねると、シェイクスピア作品のストーリーをより多面的に感じることができた。ひとつの世界をみんなで作るんだと、すごくシンクロしている感じがする」と語った。「長年役者という仕事をやっていると、たまに“仕事を超えた何か”になる仕事がある。この舞台は(自分にとって)そういう作品」と本作を表現。「今から終わるのが寂しいくらい」と、作品への気持ちを口にした。

会見では、シェイクスピア作品は難しい、というイメージについての話題も。篠井は、「生身の人間がやっている演劇の力を信じていただいて、皆さんの想像力も信じていただければ絶対楽しんでいただける」と力強く語った。

最後に吉田は、「シェイクスピアは難しそう、と思っている方にこそ観ていただきたい」とメッセージ。「体感としては1時間くらいに感じるほど、夢中になれる作品」と自信を見せ、「ぜひ劇場で体感してほしい」と締めくくった。

5月10日に開幕した東京公演は、PARCO劇場(渋谷PARCO 8F)で5月31日まで。ほか大阪、愛知、福岡、岩手の公演に続く(下記、公式サイト参照)。普遍的な内容の作品は、まるで現代ドラマのような面白さ。登場人物を演じる俳優たち全員の熱量と素晴らしい演技力によって繰り広げられる、リアルな台詞劇。色々な仕掛けも見逃せない。

“シェイクスピア×森新太郎×吉田羊によるPARCO劇場シリーズ”第3弾

作 ウィリアム・シェイクスピア
翻訳 松岡和子
演出 森新太郎

パルコ・プロデュース2026 『リチャード三世』
https://stage.parco.jp/program/richard2026

出演
吉田羊
愛希れいか 中越典子 赤澤遼太郎 増子倭文江 浅野雅博 星智也 清田智彦
篠井英介 渡辺いっけい

 

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